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バーガーキング・ドイツ革新:「ワッパーズ」購入商品の5分の1が植物由来パティ採用【持続可能消費・フードトレンド】

世界の大手ファーストフードチェーンの中でも、バーガーキングは際立って植物由来の商品を幅広く提供することに取り組んでいる。2021年、同社は2030年までにメニューの50%を植物由来の食品にすると公言し、一部の肉製品をメニューから外すと述べた。

バーガーキング・ドイツは植物由来のメニューのパイオニアになることを表明したが、特に全メニューに肉を使用しないバージョンを提供する点が多くの人の関心をひいた。2021年、同チェーンはケルンに世界初の植物由来のメニューに特化したバーガー

キングをオープンし、世界的な植物由来のバーガーに関するトレンドを生み出している。

バーガーキング・ドイツのチーフ・マーケティング・オフィサーであるクラウス・シュマイング氏は、植物由来の選択肢を推進する同チェーンの取り組みと今後の計画について、Vegconomistの取材で次のように語っている。

バーガーキング・ドイツはヴィーガンのメニューを積極的に増やし、それに関するキャンペーンを実施してますが、貴社がヴィーガンオプションの拡大に力を入れるようになったきっかけは何ですか?

「当社は1990年代半ばから植物由来の代替食品の開発に投資してきました。近年、ドイツの美食文化において植物由来のメニューの数は圧倒的に多くなっています。そのような時代の流れの中で、肉の有無にかかわらず、あらゆる味覚に適した製品を提供していきたいと思ったのがきっかけです。」

ドイツのファーストフードに革命を起こしたい

「肉食を控え、フレキシタリアンやベジタリアン、ヴィーガンなどの食生活を選択する人が増えています。植物由来の食品を豊富に取り揃えることで、味に妥協することなく、全てのお客様の選択に対応できるようになりました。この取り組みによって私たちはドイツのファーストフードに革命を起こしたいのです。」

バーガーキング・ドイツがビーガンのメニューを増やしたことについて、お客様の反応はいかがですか?お客様の嗜好や需要に大きな変化はありましたか?

「2019年に植物由来の商品を発売して以来、植物由来の商品は人気が高まり続けています。一番嬉しいことは、お客様の反応が圧倒的に好意的なものだということです。大多数の人は厳格なベジタリアンやビーガンの食生活を送ってはいないものの、肉の消費量を減らしたいと考えている人が多いです。私たちはそのような方々に、味に妥協することなく、肉に代わるものを提供するという、まさに最適な選択肢を提供しています。私たちはベジタリアンやビーガンの方も私たちのレストランを利用する頻度が増えていることを嬉しく思っています。」

バーガーキング・ドイツが植物由来の新商品を開発し、メニューに導入する際、どのような要素を考慮しましたか?研究開発プロセスについて教えてください。

「バーガーキングにとって、そして特に私のチームにとって、植物由来のメニューへの取り組みは本当に重要であり、その開発を継続的に推進することに全力を注いでいます。“美味しさ”はタンパク質の有無によって変わるものではないと私たちは確信しており、常にトレンドに即した新しい食材を試したいと思っています。例えば今年の1月には初めてヴィーガンチーズを使用しました。商品の企画から完成品がレストランに並ぶまでには、常に様々な工程があります。お客様に十分に満足していただくために、私たちは様々な味覚についてのテストを必要としています。」

バーガーキング・ドイツのマーケティングおよび広告戦略は、ビーガンオプションを広めるためにどのような進化を遂げましたか?具体的にどのようなキャンペーンや取り組みが消費者の注目を集めることに成功しましたか?

「私たちのプロモーション戦略の一番の目的は、ハンバーガーを食べたいと思わせることです。バーガーキングは楽しいというイメージをもたせるためには、時には少し挑戦的な試みも許されています。私たちはお客様を楽しませ、ブランドに命を吹き込み、特別なプロモーションでお客様やファンを常に驚かせたいと思っています。2021年6月にケルンにオープンした世界初の植物由来のメニューに特化したバーガーキングのレストランは、1週間にわたって植物由来の商品のみを販売し、成功を収めました。」

“私たちは新しいことに果敢に挑戦し続けると同時に、自分たちの信念に忠実であり続けます”

「キャンペーン期間中には、数千人のお客様やバーガーキングのファンがレストランを訪れました。このことは私たちにとっては、いかにお客様がこのキャンペーンに注目しているかということのさらなる証明になりました。その後、世界中の他のバーガーキング店舗で 多くの”模倣者 “が現れ、社内でもこの取組みに対する熱いムーブメントが起きたのだと感じています。このような結果を得ることができたことは、私たちがこの道を歩み続けるためのモチベーションにもなっています。」

「2022年夏から、私たちはほぼ全ての商品で植物由来バージョンを提供しています。ドイツの5つの都市ではこの取組みが地域活性化につながり、その成果をお客様とともに祝いました。同時にこの流れは、ドイツのリアリティ番組において起こったデジレ・ニックとクラウディア・オベールの有名な論争にも決着をつけました。このキャンペーンで、私たちは植物由来の食品を直接お客様にお届けしています。多くの人々が植物由来の食品を話題にし、あるいは単に植物由来の食品に興味をもち、肉の代替として植物由来の食品を選択することに私たちは満足しています。」

バーガーキング・ドイツの植物由来のメニューが会社全体の売上と収益に与える影響について、何かご意見をお聞かせください。ヴィーガンオプションの拡大とビジネスの成長との間に正の相関関係は見られますか?

「私たちは植物由来のメニューの人気が高まり続けていることを実感しています。売上高や、植物由来の食品を使用したバーガーと肉バーガーの比率がどの程度になるかは、お客様が何を購入するかによって決まるものですが、現在ではワッパーズで購入される商品の約5個に1個が植物由来のパティを使用したものだと言えます。ロングチキンの場合、ほぼ4品に1品が植物性パティで注文されています。しかし、私たちはこの現状を維持しようとは思っていません。今後もさらにエキサイティングな切り口でお客様やファンを驚かせ、植物由来の代替品を試す機会を提供していきます。」

バーガーキング・ドイツは、ブランドのレベルとアイデンティティを維持しながら、どのようにしてビーガン製品の品質と味を保証しているのでしょうか?

「ブランドにとって最も重要なことは、信頼性が高いことと本物であることです。ワッパーズのメニューはワッパーズ独自の味であり続けます。品質や味はもちろん、商品を提供していく上での実現可能性は密接に関係しているため、私たちは常にプロセスの改善に努め、新しいレシピを試しています。その最たる例が、卵を使わないマヨネーズへの切り替えです。何の問題もなく植物由来のマヨネーズに切り替えることができたことは、動物由来の原料を使わなくても味と品質は変わらないことを証明しています。私たちが商品を発売する前に行う徹底的な味覚テストでは、以前のマヨネーズよりも良い結果を出すことができました。」

「私たちバーガーキングはメニューの品質について、法的要件をはるかに超える高い基準を遵守しなければなりません。そのためドイツにある750のレストランは、外部の専門家によって定期的に検査を受けています。衛生面や食品の品質と安全性はもちろん、植物由来食品の調理工程、お客様へのサービスにおいて、各分野とも厳しくチェックされます。お客様にもこれをいつでもご確認いただけるよう、店内にはそのレストランが第三者検査に合格し、バーガーキングの厳しい基準を満たしていることを掲示しています。さらに社員教育にも時間とお金をかけており、2023年6月までにレストランチームは合計で約18万時間の教育を受けています。」

バーガーキング・ドイツが提供するビーガンメニューは、メディアや消費者の間で大きな注目を集めています。貴社はこの動向をブランドイメージをさらに高めるためにどのように活用し、競合他社との差別化を図ってきたのでしょうか?

「私たちは食を楽しむ文化に植物由来の食品という分野を取り込んだ先駆者です。私たちは新しいことに果敢に挑戦し続けると同時に、自分たちの信念に忠実であり続けています。私たちの謳い文句である “Make your King “は、肉が好きであろうとなかろうと、全てのバーガーファンを対象としているものです。」

“私たちは、植物由来の食品をさらに拡大する手段や方法について常に検討しています。”

「今日、バーガーキングはもはや炎で焼くハンバーガーだけでなく、ドイツにおける食を楽しむ文化の一要素として、植物由来の食品を提供する最大手になっています。私たちはこの先駆的な役割を誇りに思い、これからも鋭意取り組んでいきます。同時に私たちは代替タンパク源に対する認識を高めたいと考えており、代替タンパク源の協会であるBALProのメンバーの一員として、代替タンパク源の周知に貢献しています。植物由来であることは、私たちにとって重要なテーマであり、それは今後も変わることはありません。」

バーガーキング・ドイツが、ヴィーガン向け商品をさらに拡大したり、植物性食品市場の進化する需要に対応したりするために、今後考えている計画や取り組みはありますか?

「私たちは植物由来の商品の人気が高まっていることを嬉しく思っています。だからこそ商品に対する新しい価値の創造に継続的に取り組み、植物由来の商品をさらに充実させる方法を検討しています。例えばヴィーガニュアリーキャンペーンが始まったことを記念して、初めてヴィオライフ社の代替ヴィーガンチーズを使用した“植物性ロングチキンチェダースタイル”を開発しました。」

「さらに牛乳代替品など他の分野も発展させたいと考え、10店舗でOatly社と協力することにしました。これまでのところ、特にベルリンやケルンのような大都市圏では、この植物性代替食品が非常に好評です。また私たちは現在、砂漠地帯での代替品も探しているところです。私たちは今後もエキサイティングなキャンペーンやコラボレーションを通じて、植物性由来のメニューの周知と、美食を楽しむ文化に代替タンパク源を提供することの重要性に注目していきます。」

バーガーキング・ドイツは、植物由来食品サプライヤーやビーガン業界の他の企業とのコラボレーションやパートナーシップにどのように取り組んでいますか?また、コラボレーションが成功し、市場におけるブランドの地位を強化した事例があれば教えてください。

「2019年に初の植物由来の商品を発売して以来、パートナーとしてThe Vegetarian Butcherと長年協力してきました。私たちはナゲットだけでなく、ハンバーガーのパテも全て一緒に開発し、オリジナルと同じような味の植物由来の代替品の開発に取り組んでいます。さらに前述のように、私たちはViolife社やOatly社、そしてRügenwalder Mühleとの唯一無二のコラボレーションを成功させ、エキサイティングな製品を生み出してきました。また、BALProのメンバーとして、オルタナティブ・プロテインを提唱する活動も支援しています。全てのパートナーとともに、私たちが目指しているただ一つの目標はドイツで拡大しつつある植物由来の食品に対する盛り上がりをさらに促進することです。」

“私たちは、代替肉市場が今後も大きく成長することを期待しています”

「一方で、私たちは単純に植物由来の商品をヴィーガンと呼んではいません。植物由来のパテと植物由来のナゲットは、生の状態では純粋に植物由来の食品ですが、私たちは全ての製品を同じ厨房で新鮮なまま調理しています。植物由来の鶏肉製品を調理するには特別な工程がありますが、調理する場所は動物性製品と同じ厨房です。そのため二次汚染を排除することはできません。製品がいつヴィーガンになるのかという問題については、パートナー企業や地域社会と話し合いが必要であり、誰もが満足できると同時に実行可能な解決策を協働して模索することは興味深いテーマだと考えています」

バーガーキング・ドイツのCMOとして、ファーストフード業界における植物由来の食品の将来をどのようにお考えですか?今後数年間で、どのような機会と課題が予想されますか?

「栄養の民主化が進んでいます。より多くの人々がフレキシタリアンやベジタリアン、ビーガンの食生活を選択できるようになりました。何をどのように食べるかを自分で決めたいと思うのは当然のことです。植物由来の代替食肉はすでに社会に深く浸透しており、小売業や外食産業においても代替食肉の存在は無視できません。今後、代替食肉や代替タンパク源の市場はますます大きく成長すると予想しています。

「これは私たちにとって大きなチャンスです。私たちバーガーキングが植物由来のメニューのパイオニアであることを人々の心にしっかりと定着させたいと考えています。私たちは植物由来の食品がファーストフードのメニューにも十分に活用できることを証明しました。私たちはパートナー企業とともに、ドイツの外食産業に新たな基準を打ち立て、取り組み続けたいと考えています。“植物由来の食品”や“ベジタリアニズム”、“ヴィーガニズム”に取り組むことは、パートナー企業や地域社会との関わりを深めるだけでなく、食を楽しむ文化そのものと密接に関わっていくことにつながります。お客様の体験をより良いものにするためにも、一般の方にも植物由来の食品に対する理解を深めていただくことが重要だと考えています」

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カテゴリー: ニュース ブログ

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