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専門家が指摘する鳥インフルエンザと豚インフルエンザによる次のパンデミックの危険性【公衆衛生】

鳥インフルエンザと豚インフルエンザが各国で発生し、ある団体が “迫り来るパンデミック “と呼ぶものに対する工場畜産の役割を浮き彫りにしている

世界各地で高病原性鳥インフルエンザや豚インフルエンザが多発したことを受け、世界の保健当局は「迫り来るパンデミック」の可能性に警鐘を鳴らしている。

韓国では最近、ソウルの保護施設で鳥インフルエンザが発生し、40匹近くの猫が死亡した。2016年以降、この地域で猫から鳥インフルエンザが検出されたのは初めてである。韓国当局は感染源が汚染されたキャットフードであることを突き止め、製造業者に全製品の回収と廃棄を命じた。政府は現在、全ての動物性食品メーカーに対して全国的な検査を実施している。

この事件に続き、イタリアでは犬5匹と猫1匹が鳥インフルエンザだと診断され、イギリスでは近隣の農場で鳥インフルエンザが検出された後、地元の海岸にカモメ330羽の死骸が打ち上げられるなど、ヨーロッパ各国で鳥類及び哺乳類の鳥インフルエンザ感染が相次いでいる。

さらにブラジルの獣医局は先月、リオデジャネイロとパラナ州で新たに2件の鳥インフルエンザの発生を確認した。

これらの事例を受け、世界保健機関(WHO)は鳥インフルエンザ感染力は今まで以上に「急速に進化している」ものであり、人体に危険を及ぼすものであると宣言した。

一方、米国農務省農業研究局の研究により、2009年のH1N1パンデミック(「pdm09」として知られる)の原因であるA型インフルエンザについて、ヒトとブタ間の感染経路に驚くべきパターンがあることが明らかになった。

2009年以来、このウイルスはヒトからブタに約370回感染しており、ヒトへの感染能力が高くなるウイルスの進化的変化の可能性が疑われている。

鳥インフルエンザや豚インフルエンザの蔓延及びウイルスがヒトへ感染する可能性は、新たな世界的健康危機への懸念を高めている。

畜産業と迫り来るパンデミック

畜産業は工業化された工場畜産の出現によって、家族経営の小規模農場という伝統的なイメージから年々劇的に変化している。

高収量の畜産を優先する工場畜産のシステムは、世界中で毎年何十億頭もの動物を飼育し、食品産業の生産性と利益率を高めるものであり、その結果、飼育スペースの効率化が繰り返され、飼育環境が窮屈なものになっている。

“鳥インフルエンザの流行はかつてない規模に達し、何百万羽もの鳥を殺し、絶滅危惧種を絶滅させる恐れがある”

このような工場畜産の激増により様々な公衆衛生上の問題が発生し、次の世界的大流行の可能性が懸念されている。Four Pawsはこの鳥インフルエンザの流行に関する緊急事態を “憂慮すべき”、”迫り来るパンデミック “と呼んでいる。

“高病原性鳥インフルエンザの出現は家禽飼育量の増加と関連している”

“集約的農業はウイルスの循環と変異を加速させ、それは現在も続いている”

昨年、5大陸にまたがる67カ国で高病原性鳥インフルエンザの発生が報告され、その結果、1億3100万羽の家禽が感染や処分によって失われた。

「養殖家畜の数を減らし、現在のような高集約かつ高集中型の生産モデルから脱却して、食料システムを再編成する政策が必要です。そのような政策を行わなければ、さらに危険なウイルス変異が起こるリスクが高まります。この深刻な問題に対して、世界的に協調した対応が必要です。」とベイヤーは語った。

pdm09変異体についても同様の懸念が浮上している。アレクセイ・マーキン率いる研究チームは、COVID-19パンデミックの最盛期にも、このウイルスがブタの間で蔓延し続けていたことを明らかにした。

「ウイルスが変異を繰り返す中で、pdm09亜種は遺伝学的にヒトの季節性ワクチンには反応しなくなり、pdm09亜種がヒトに感染しやすい状態になっている可能性がある。ヒトにおけるA型インフルエンザウイルス感染を制御することは、ブタへのウイルスの流出を最小限に抑え、ブタに蔓延するウイルスの変異を減少させることができる。ブタにおけるウイルスの変異を制御することで、新型ウイルスの出現やA型インフルエンザウイルスのブタからヒトへの感染の可能性を最小限に抑えることができる。」

次のパンデミックを防ぐ

これらの知見は、食用として飼育されている動物と人間の運命が相互に絡み合っていることを明確にするものであり、パンデミック対策には医学的介入だけでなく、畜産業のシステムを根本から変える必要があることを強調するものである。

世界がCOVID-19パンデミックの余波と闘い続ける“今”は、鳥インフルエンザと豚インフルエンザの流行がもたらす脅威の拡大を防ぎ、世界の健康を守るためには積極的かつ総合的な対策が必要であることを実感するのに絶好なタイミングである。

動物性タンパク質からの完全な脱却を理想とする一方、国は劣悪な環境で豚や鶏、牛を飼育することが常態化した現状を緩和するために、工業的農業の中における動物福祉の改善に重点を置いた立法を進めている。

このような立法措置の例としては、カリフォルニア州の提案12号(豚肉業界からの異議申し立てを経て、最近連邦最高裁判所によって認可された)や、フィル・マーフィー知事が先月署名したニュージャージー州のA1970がある。

米国動物愛護協会ニュージャージー州支部長のエリッサ・フランクは次のような声明を出した。

「工業化された豚肉産業における多くの母豚は振り向くこともできないほど狭いケージに閉じ込められています。彼らはわずかなスペースで、食事や睡眠、排泄の全てをすることを余儀なくされるのです。多くの子も同じような運命をたどっています。この法案が可決されれば、家畜動物の悲惨な飼育現状と公衆衛生上のリスクは両方とも適切に対処することができます。」

しかし新たな法案である農産物貿易抑制法(EATS法)は、動物福祉と公衆衛生のために前進したこの動向を覆すことを目的としたものである。もしEATS法が可決されれば、公衆衛生の保護に向けた動きは大きく損なわれてしまう可能性がある。

ハーバード大学法科大学院のブルックス・マコーミック・ジュニア動物法・政策チームは最近、EATS法の多くの不当性を概説する156ページの報告書を発表し、EATS法が成立することによって懸念される事態に対する警告を発表した。

「EATS法は各州の権利のバランスを崩し、国の有権者が表明した意思を連邦政府が覆し、何十年にもわたって確立されてきた憲法判例を無駄なものにする可能性がある。EATS法は各州や地方自治体における農産物の生産や販売に対する規制力を大幅に制限し、1,000以上の州法を無効にする可能性がある。」

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カテゴリー: ブログ 健康・栄養

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